講義ノート―動学マクロ経済学入門 読んでみた 3章編 〜ラムゼーモデルに税制を組み込んでみよう〜

教科書についてはこちら。

あ

ラムゼーモデルに税制を組み込んでいく。
ラムゼーモデル回とほとんど同じ。

まず、企業は変わりなく利潤\Piを最大化する。
 \Pi_t = A_tK_t^\alpha L_t^{1-\alpha} - r_t K_t - w_t L_t
(今回も以下L = 1になる。例によってAも固定になる。)


考える税は\tau_{c,t}(t期の消費税率)、\tau_{h,t}(t期の一括税)、\tau_{k,t}(t期の資産収益税率)の3種類。

すると代表的家計の資本ストック式は以下のようになる。
 K_{t+1} + (1+\tau_{c,t})C_t + \tau_{h,t} = (1-\tau_{k,t})r_tK_t + w_t + (1-\delta)K_t
この制約の元で家計は相変わらず効用関数Uを最大化するようにC_tを決定する。
 U = \sum_{i \ge t} \beta^{i-t} {\rm ln} C_i


そして、政府という主体が新たに導入される。政府は徴収した税をもとにt期にg_tの消費を行う。
 g_t = \tau_{c,t}C_t + \tau_{k,t} r_t K_t + \tau_{h,t}

資本ストックの式は
 K_{t+1} = (1-\delta)K_t - C_t - g_t + A_tK_t^\alphaのように修正される。

気を付けること

一括税\tau_{h,t}は任意の外生変数。負の場合は政府が家計に還付金を支払うことに相当。

色々最大化

あんま変わらんのではしょりながら。

企業の利潤最大化から、
 \frac{\partial \Pi_t}{\partial K_t} = \alpha A K_t^{\alpha-1} L_t^{1-\alpha} - r_t = 0
 \frac{\partial \Pi_t}{\partial L_t} = (1-\alpha) A K_t^\alpha L_t^{-\alpha} - w_t = 0
それぞれ変形してL_t = 1として、
 r_t = \alpha A K_t^{\alpha-1}
 w_t = (1-\alpha) A K_t^\alpha
を得る。

家計はUを最大化するから例によってラグランジアンΛの微分を考える。
 \Lambda = U - \sum_{i \ge t} \lambda'_i \{ K_{i+1} + (1+\tau{c,i})C_i + \tau_{h,i} - (1-\tau_{k,i})r_iK_i - w_i - (1-\delta)K_i \}
前回と同じ \beta^{i-t}\lambda_i = \lambda'_iという置き換えをして、ラグランジアンの微分が0になることから
 \frac{\partial \Lambda}{\partial C_i} = \beta^{i-t} / C_i - \beta^{i-t}\lambda_i(1+\tau_{c,i}) = 0
 \frac{\partial \Lambda}{\partial K_{i+1}} = -\beta^{i-t} \lambda_i + \beta^{i+1-t}\lambda_{i+1} \{ (1-\tau_{k,i+1})r_{i+1} + 1 - \delta \} = 0

上の式から
 \lambda_i =  \frac{1}{C_i(1 + \tau_{c,i})}
を得、下の式に代入して、
 \frac{\beta}{C_{i+1}(1+\tau_{c,i+1})} \{ (1-\tau_{k,i+1})r_{i+1} + 1 - \delta \} = \frac{1}{C_i(1+\tau_{c,i})

更に企業の利潤最大化から求めたr_tをこれに代入し整理すればオイラー方程式
 \beta \{ (1-\tau_{k,i+1})\alpha A K_{i+1}^{\alpha-1} + 1 - \delta \} = \frac{C_{i+1}(1+\tau_{c,i+1})}{C_i(1+\tau_{c,i})
を得る。

前回気づかずスルーしたけど

 w_t = (1-\alpha) A K_t^\alphaという関係があるのに家計のラグランジアンにこの制約による項が入らないのはなぜかという話。
たぶん家計がw_tをコントロールするには、全家計が一致団結してC_tを調整しなければならないんだけど、この代表的家計ってのは、たまたま全家計が同じK_t, C_tを持っていた結果、たまたま全家計が同じ判断を下しているというような考えなので、
家計全体ではなく、ひとつの家計にとってはw_tは調整不能な外生変数になる、ということなんだと思う。

たぶん。

とりあえず定常状態

本当に定常状態に至るのかという疑問は封印して、例によって色々定数にする。
 \tau_{k,t} = \tau_k, \tau_{c,t} = \tau_c, g_t = g

で、定常状態ではC,Kは変化しなくなってC_*, K_*になっているので、オイラー方程式から、
 1 = \beta \{ (1-\tau_k) \alpha A K_*^{\alpha-1} + 1 - \delta \}
これを整理して
 K_* = (\frac{\beta^{-1} + \delta - 1}{(1 - \tau_k)\alpha A})^{\frac{1}{\alpha-1}}
を得る。

資本ストック式に代入して
 C_* = AK_*^\alpha - \delta K_* - g_t
を得る。

重要な知見

定常状態には \tau_cが入っていない!!!
すなわち、消費税率が1%でも10%でも10000000%でも関係なく定常状態の資本ストック量、消費量が決まる。

あれ、マジ?

てか政府支出gも入ってないんで、政府がいくら消費しても定常状態が変わらないことに。ほんまかこれ。
理由を考えてみよう・・・